白銀の世界で這い蹲る姿を誰があの少年だと思うだろうか。すかした表情の裏に時折のぞく、幼い迷子のような顔。僕だけはその顔をずっと知っていた。
 でもダメだよ。君がみんなのものであるなら、もうそれは解放されねばならない。
 歓声が身体をつらぬく。さようなら、そしておめでとう。君は僕だけの王様だった。

(コウジ/PKCにて)


 胸がゴトリと重くなる時があるんだ。
 喉が詰まったみたいな気がしてグッと飲み込むと、胸にそれが落ちてくる、そんな時がある。なんだろう、と思ってそっと手のひらをあてると冷たい。ゴツゴツとした感触もある。どうやら石らしいんだ。身体の中に石ができるなんて、本当だったら病気だよね。
 神経を研ぎ澄ませて、よーく感触をたどると、その石はただの小石じゃない。水に削られ穏やかに丸くなったような形ではなくて、どこかから千切れて落ちてきた、何かの欠片なんだと分かる。
 それでやっと思い出すんだ。俺の身体に刺さって抜けないものがたくさんあるってこと。
 コウジ、全部お前の作った音だったんだよ。

(ヒロ)


 オンボロの電車を乗り継いで街へ出た日のことを思い出していた。まだ何年も経っていないのに、もう随分古い記憶のようだ。あの日、髪を初めて染めた。長さの分の料金がかかると言われ、想定以上の出費となり苦い思いもしたが、家に帰っていつもの鏡の前に立った時の喜びもまた、想定以上だった。
 髪を下ろすたびに視界が青に覆われ、水の中にいるようだった。ここが夢の始まりなのだと思った。
 電子の魚が視界をよぎる。憧れの人の叱責が現実を証明する。いま、夢の中を泳いでいる。

(ジョージ)




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